ゲームブック『護国記』じゃっかんネタバレ感想(12/16)

前回、4gamerのインタビュー記事を引いて紹介した、ゲームブック『護国記』
それなりのエンディングにたどり着いたので、改めてみなさまにご紹介しつつ簡単な感想を記したいと思います。

まず「ゲームブック」ってみんな知らないよね?!? 90年代前半の中学時代にラノベヲタをやった私がぎりぎり知ってるくらいのやつだし!
えー「ゲームブック」とは……そのまんま、ゲームが本になってるやつです。。。ベースは物語なんだけど、主人公の行動を自分で選択できて、選択肢によってお話が変わっていく。みたいな。
しかしそうはいっても! 紙のゲームブックってボリューム的にそん~~~なに分岐できない。「1冊の本でいろんなストーリーが読める☆」というよりは、「理不尽なデッドエンドにボコボコ遭いながら正解ルートを探す」というのが昔の……凡作のゲームブックだったとおもう。
あと紙だと不覚のネタバレとかもあるし。「ダンジョンの道が左右に分かれている…… 【右に曲がる→58ページへ】【左へ曲がる→120ページへ】」的に、分岐先のページは離してあるんだけど、めくってるうちにどうしても……見えちゃうじゃん! もっと後で読むべきページがなんだかんだで見えちゃうじゃん!
それでもしっかり面白い内容のゲームブックが、当時からあることはあったらしいのですが、中学生の私は出会わないまま、「なんか……いいや」とゲームブックを手に取らなくなってしまったのでした。

そこにきてこの『護国記』ですよ。
前回紹介したインタビュー記事でも言及ありましたが、とにかく「紙のゲームブック」の弱点が排されている! 電子書籍だから分岐し放題&ページをめくる時のネタバレなし!
あとこれは本当に電子ならではなんだけど、どこで分岐したのかよくわからない。デッドエンドでやり直しして、前回とは違う選択肢を取った時に、やっぱり同じ文章に出くわす……。でもそれが本当に同じ流れなのかどうかはわからないんですよ、Kindleの「位置No.」に注目していない限りは。この本は「位置No.」が5桁まであるからふつうおぼえてないしw
「いやいや! 違う選択をしたから先が変わっているはず!」と思って結局……「あ~~~また同じデッドエンド~~;▽;!!!」みたいな。ことが。序盤頻発しましたw (これと逆バージョン、「同じ流れに見えて、前の選択肢が違うから突破できた!」ってことももちろんありますよ大丈夫ですよ。)

さっき「紙のゲームブックは理不尽なデッドエンドが多い」と書きましたが、実はこの『護国記』も、序盤はすぐ死ぬんですw 死にまくるんです!
「序盤は憶えゲー」と夫が言ってましたが、ほんとに。「こんな選択肢で死ぬんかい!!」みたいな理不尽な死に方を山程する。
でもその「死」にストーリー上の必然性があるし(これはネタバレですので言及しません)、死んで戻る時もリンクのタップ1回だわそんなに長いこと戻されないわで、ストレスが少ない。
作者の方が意識したかどうかわかりませんが、こういう「リトライのストレスを極限まで少なくした高難易度の死にゲー」、ここ3年くらいアクションゲームの世界で流行ってるっぽかったよね。。。いっぱんピーポー世間では流行ってないかもしれないけど、夫が所属するゲーマー世間では流行ってた。たぶん。
その流行にも乗ってて、死ぬ死ぬ言っても楽しくなくはない。ていうか楽しかった! 「これどこで分岐してんの?!」「ほんとに正解あんの!?」とかギャーギャー言いながらリトライしまくった序盤。

ゲーム性についてばかり書いちゃってストーリーに言及してなかった。
世界観はいわゆる欧風ファンタジー。主人公はライゼという青年で、「壱の国」という王国で書物編纂室員をしている(登場する5つの国は全部数字にまつわる名前がつけられていて、憶えやすい)。日々編纂室で資料の管理や整理にいそしむ。仕事内容にはさほど突っ込む記述がなかったけど、司書みたいな感じかな? 別に身分は高くない、単なる若い公務員レベルの司書なのに、おてんばで美人なお姫様とちょっと仲良かったりw するんですよ。
しかしそんな王国にある日突然! なんの前触れもなく! 飛竜が突っ込んできて城郭を破壊し、他国の軍隊がなだれ込む。まさに青天の霹靂、生命の危機。だけどお姫様を守らねば!
……というところからお話が始まります。
結構この~~~城を脱するのが大変。やっと脱したと思ったら「あれ? 自分は助かったけど何が起こったかミリ単位でもわからないまま話終わっちゃったよ?」てエンドに行き着いちゃったり。この事態はいったいなんなの?! 誰が何してどういういきさつでこんなことになっちゃってんの?! というのがなかなかわからず、もどかしいながらもすごく楽しい。お話が二転三転、真相を求めて、時間(=行動回数)制限のある城の中を行ったり来たり死んだり死んだりします。さっきから書いてるけどこの辺が本当楽しい。城の中での行動が結構細かいところまで選べて、城の中のいろんな場所で働いている人に会って……。ディティールを見るのが楽しかったな!
この作品において、ゲーム性に次いで楽しんだのが、世界のディティールかもしれない。無事に(?)城を脱して、さあ広い世界に向けて旅立つぞーっていうときに、こまごまとした装備と持ち物の描写があったのに一番ぐっときたよ。干し肉と固いパン! 持たされてる! 思春期にTRPGのルールブックを死ぬほど読み込んでたワイ萌えるーー;▽;

しかし個人的にしょぼんとしたポイントもあって、それは主人公ライゼのキャラがとちゅうでかわってしまうことですね。。。
ストーリーの根幹に関わるので詳しくは書けないけど、途中からわりと「俺TUEEEE」状態になってしまって、「ま、今ちょうしに乗ってるだけかな?^^」「後半痛い目に遭って戻ったりするかな?^^」とおもってたら、もどんない(ガーン) ただの公務員ライゼに永遠に戻ってくれない……。どんどんヒーロー然としていって、なんていうのだろう、「もやし男子のヨワヨワな感じにほだされて付き合うことにしたのに、いざ付き合い出したら急に俺様」みたいなショッキング展開(※個人的な経験ではなく一般論です)に感じたよ…… 女子だからかな!!
あとこれはしょせん好みの問題にすぎませんが、おばちゃんは「俺TUEEEE」展開が楽しめる世代じゃないけん。。。えー世界観は古き良きラノベなのに! ストーリーもそういうのがいいよぉ~;; とちょっとおもってしまった……。

まそういう、好みジャストじゃないところはありつつも。おおむね楽しく1周目を終えまして。
終えてから面白いのはやっぱり、他のプレイヤーとの答え合わせですね!
先にクリアしていた夫と、どうなったどうなった!? ってキャッキャと話してみましたが、大筋同じでもエンディングが全然違う!

私「私は魔神を封印した場所が(ピー)だから、ライゼが(ピーー)になって、守っていくみたいな。散の国と縁が深いエンディングだったよ」
夫「え、でもその後でさらに選択肢ない?」
私「ない」
夫「姫と(ピー)しなかったっていうこと?」
私「えええええええ!? そんなんあんの? 姫最後出てこないなって思ったけど!」
夫「僕は姫と(ピー)したらさ……。……。いややっぱりこれは言わないことに……」
私「うん、2周目するかもしれないから言わなくていいよ」
夫「いやいや言わせてよ!! 言いたいよ! 実は姫と(ピー)すると、続きがあって(ピーーーーーーーーーーー)
「ぎゃあああああああ!!!! なにそれ?! なんで?!」

そんで(ピーーーーーーーーーーー)を回避するルートが存在する可能性についてどうのこうの。盛り上がりました!
エンディング、これ相当数があるで……。たぶん。たぶんだけど。
他のエンドも知りたくてネットで検索したけど、まだあんまり上がってないですね。ほんとに自分で2周目してみるしかないか……。すぐにはしないだろうけど、また気が向いた時にやってみたいです。スマホで気軽にできるし。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック) 波刀風 賢治

いつものごとく、画像リンクはアフィリエイト、テキストリンクがアフィなしです。お好きなほうで~
Unlimitedでも読めるけど、しっかりプレイする自信があるなら買うほうがおすすめ。メモが残せるから……アンリミは1回解約してしまうとメモのデータも飛ぶから。確か。

しかし、電子のゲームブック楽しいねえ……。
インタビュー記事で作者&編集さんが熱く語ってたけど、ほんと結構この「電子でゲームブック」って可能性でかいと思ったよ!
個人的には従来のゲームブック然としたゲームブックだけじゃなくて、もっとちゃらいのも読みたいw 結果が分岐しまくる婚活パーティーとか、ストリートナンパとか! でもこれおれたちちゃらい世代の発想だな若い人もう読まないやつだな。。。若い人なにがお好きかわかりませんほんとに。。。
私はなんでもミニマルに、起伏がないほうにw 持って行きたがる人なので、限りなく地味な、ただ分岐するだけの本とかあってもいいんじゃないかと思っちゃう。インタラクティブなだけでじゅうぶん面白いんじゃないかなって……。
つらい&しんどいがあふれかえる世の中で、フィクションへの注目って薄れてきてしまってるなあ(みんなノンフィクションや実用書のほうが好きみたいだなあ)と感じるこの頃だったけど。「分岐できる」とするなら、フィクションががぜん力を持ってくるよね!
『護国記』作者の波刀風(はとかぜ)さんはじめ、これから新しいゲームブックを創るみなさんには頑張って欲しい……そして幸あって欲しいものです。

【本文に入らなかった感想、ヒント、もろもろ】
・あとこの作品で楽しかったのは、武器の扱い方を具体的に学んだ後、実際に戦闘中に武器の扱いを選択肢で問われること。そこを切り抜けると自分も強くなっている感じがして楽しい^^ 戦闘よくわからない~ってテキトーに選んじゃうと即死します。
・すんごい序盤で、選択肢の正解/不正解に一定の基準があることを示唆する文章を読める。これも気付いた時面白かった。
・電子書籍だから選択肢ではしおりをはさみたくなる。デッドエンドを見た時、しおりまで戻りたくなる。でもしおりで選択肢に戻るより、そのデッドエンド末尾のリンクをタップしたほうが絶対にいいです! 大した距離飛ばされないし、ヒントもらえる場面も多いです!
・とはいえ、本当にでかそうな分岐にはしおりを挟むのもいいかもね。あと誤タップ対策としても…… 読んでたページを1度見失うともう2度と戻れないくらいのボリュームだし。

冒険×パンといえば「トルネコ」……! っていう絵です。でも「護国記」はけっきょくパンが活躍しなかった気が……