言葉の魔法・下(2/14)

【長いので上の記事からつづく】
魔法はなかった!
少なくともスクリーンには映らなかった!(打ち始めるまでの間に「魔法」が存在する可能性はあるが)
超ふつう!
すーごいスピードで書いてるんじゃないかとか、逆にものっっすごい時間かかってたりして、とかいう想像はしていたのですが、ふつうなのは想像してなかったのでびっくりした。
再生ファイルはこま切れになってて(もちろん、執筆ソフトを開いていない時間は記録されないし)、これは何月何日の何時から何時までかかって記録されたもの……次のは……ってわかるようになってるんだけど、最新のファイルに行くほど速くなる、とかってこともなく。
「ぜったいラストは超速で書いてるんだよ!」「ラストから見ちゃおうよ!」とかっつってパソコンをいじったのですが(ギャラリーがいじれるようになっている)、自分が見た限りではどこが速いということもなかった……。というか、よく日付を見ていたら、この展示の会期中にも書き足されているから、ラストはまだないんだよね。最終日である17日に行けば、ラストスパートが見られたのかもしれませんが! 日曜日とか混んでる日に行ったら、おそらく9割方、ファイル閲覧の操作をすることはできなかったと思う。当然だけどスクリーンはいっこしかなくて、ギャラリーはいっぱいいるわけで……。勇気があったら前に行って操作すればいいけどね! みたいな。私は平日昼間に見にいったのでわりと自由がききましたが、それでも三時過ぎからは混み出して、自分でいじるチャンスはなかったなあ。
話戻りますが。言葉を選んでる過程にしても、ほんとにふつう。画面が文字をトレースしていくのにあわせて、自分も考えて(舞城王太郎の思考をトレースしようとして)いるんだけど、「あ、言い回しがすぐ前の文とかぶる……」「戻って直すか? ……あ、直すよな、やっぱ……」みたいな。
なにも変わったところはなかったね。まあ、手が止まる間も「私がふつうだと思ってるくらい」にあって。ちょっと長いな(ぶっちゃけ暇だな)、と思うと、改めて年月日&時間を確認してみたり。それを書いていた時間も、分単位で記録されているので、「10時台から働いてんのか……はえーな」とか「この日は夜中だ」とかわかる。日付も、「あれ、大雪の日かな」「いや、次の日か」とか考えてみたりした。
あ、このインターフェース? の特徴として、打つまで長かった言葉はでっかく表示される、というのがあって。それでなおさら、間が強調されると思うのだけれど(考えている時間、として)、もうちょっと微妙に反映されればなーと思った。数十秒待った言葉と、数分待った言葉であんまり差がなかったような(どっちも字がでっかくなる)。流れるように打った文章だけが通常の大きさ、って感じだったかな。もし間違ってたらゴメンだけど。
で、まあ、「ふつう」にびっくりして帰ってきたわけだけれども、帰ってきてからパンフ(途中まで舞城小説の中身が載ってる)を読んで、卒倒しそうになりました。
だって紙で読んだら速いんだもん!
そりゃ書くより読むのが速いのは言うまでもないんですが、舞城王太郎の文章は特に速いよね! 流れるように読めるよね! 多分、読む方のスピードを計れるとしたら、自分が読んできたありとあらゆる作家の中で、一字当たりを一番速く読める文章を書くのは舞城王太郎だと思う……ってそんなん考えりゃわかることだけど、あの書くところを見たあとではショッキングだった。ふつうに書いてるのに……。
まさに魔法、魔法すぎ。無理。
あー、あと、見ている間にちょっとした遊びに気付けて面白かった。
明らかな打ち間違い……「ここで客が見てると思って打ったろ!」っていうワードが打ち込まれてソッコーで消されるのを一回だけ見ました。ごく短い一語。なにかは言わない。フフン!
でも後で考えると、そういうのって、意地悪なことを書こうと思えばできるよね……。たとえばですけど、「人の執筆を覗くなんて卑しい奴だなお前は!」って打って、さーっと消すこともできるわけじゃないですか。ん、そんなん展示の会期中にわざわざしないだろって思う人もいるかもしれないけど……作家という職業にそういう意地悪をわざわざするタイプは結構いそうだなと私は思った。でもこの人は全然そういうんじゃなくて、ちっこいイタズラにとどめておくところがとても素敵だなあと思った。
とまあ思ったことを書いたらすごく長くなってしまったわけだが、ほんとにこのType Traceは面白かったんだよ!
他の作家のも是非見たい!
っていうか第二弾は西尾維新だよね? 西尾維新しかないよね! ってことに私の脳内ではなっています。確実に超速スピードを見せてくれる人として(どうしても早打ちが見たいらしい……)。
第三弾は大御所に飛んで〜、大江健三郎御大とか? 遅いんでしょうけど……。で、次辺りにエンタメ界のスピードキング☆石田衣良氏の執筆も見たい。あとはもちろんりさタン。りさタンの執筆なんて「一回百万」って言われても見そう。借金して見る。
なんか俺のぞき部屋の人みたくなってる! きもい! でも上の5人の執筆を5つのスクリーンで同時に見られたら超面白いと思う。
あ、ちなみに展示は五百円だった……。
安い。
ま、展示室が小さいし作品数も少ないから相場かもしれませんが、一時間くらい居たんじゃないか?(一時間じゃ全然中のモン読めないけどね) それで五百円て。スタバかよ!
客層も面白かったです。若い人多かったなー! どうみても二十代が圧倒的最多層、って感じでした。時間帯によるかもしれませんが……。学生然としている子が多かった。男女は半々くらいか。
芸術学部生と文学部生も半々くらいに、私には見えました……。普段から展示チェックしてそーな子と、美術館とかまったく行かないけど今日はがんばって来ました! って子と。まあ私も後者だったわけだが! はっは!
ていうか東京に住んで七年、自主的に美術館と名のつくところへ足を運んだのは初めてだったかも……。猫に小判、俺に東京だなー! 
面白かったです。恵比寿まで行ってよかった。
展示の中の人ありがとう。
そしてこの長文を最後まで読んでくれた人ありがとう。
レポの部分だけで十四枚あるよこれ……。
※以上のレポートは2月に書いたものですが、
 都合により5/13にupさせていただきました。