【これまでのあらすじ】
読書感想文が死ぬほど苦手な小・中・高時代を過ごし、
大人になってからようやく「感想文を書くコツ」をつかんだ私。
その経験をもとに去年秋、「読書感想文攻略法」という
100ページ超のまんがを描き発表したが、
「あの」斉藤孝先生が『だれでも書ける最高の読書感想文』という
本を出版なさっていることに今さら気付いてビビった(斉藤先生の本の出版が前)。
ビビりすぎて読めないほどであった。
が、ネット上にある他人様の感想などを読んで、
方向性が違うような気がしてきたので、読んでみることに。
*
1時間半かけて読み終えました
(平易な文章でこの所用時間なので、結構ボリュームがあります)。
違ったっ……!
中身違ったよーーーー!!!!(安心で涙)
まあやっぱりカブる箇所もちょこちょこありましたがww
導入からして違ったのでほっとしました。
斉藤先生のご本は、まず「まったく読書感想文が書けない子」のために
モチベ上げ
から始まります。
なんと第1章、49ページまでかけて読み手の気持ちをageてくれるのです!
・やらされてる感は捨てよう!
・感想文はコミュニケーションの一種だから、その能力は一生使えるよ!
・思いを形(文章)にすることで、感想を深められるよ!
等々……読み手が自発的に感想文を書く気になるように励ましてくれます。
・宿題だから仕方ない。一発で正解書いて片付けましょう
・ちなみに、センセイが喜ぶヤツが「正解」です
・センセイが何を期待してるのか考えよう、攻略しちまおう
から始まる私のまんがとは180度と言っていいほど違います。
これはなー! 正直読み手の性格によって、どっちが頭に入るか違うだろうなー!
私は中学生くらいの自分を読者に見立てて書いてますから、
自分だったらもちろん後者のほうが「いっちょやってやるか」って気になると思う。
でも、そんなにひねくれてない子は、斉藤先生の導入のほうが
「そうかー! がんばるぞー!!」って気持ちになるだろうね。うんうん。
*
あと、一番大きな違いとしてあるのが、
私の「攻略法」は基本的に「正解は1本」
(色々アレンジがあるにしても、外してはいけない基本構成が1つだけある)
なのに対し、
斉藤先生の「書き方」では「正解は無い」「感想ならOK」ってことです。
これはまあ、導入から生まれてきちゃう差でもあるよね。
「自分のための」感想文だったら、そりゃ本人の書ける範囲内でいいし
感想を素直に書いてもいいと思う。
でも私は、「学校提出のための」感想文というスタンスですから、
「センセイが喜ぶ最低ライン」を満たすモデルを1つ明示しています。
この辺に関しては……正直、どうだろうか……。
本当に「書けない」子が選んだほうがいいのはどっちか? 悩んじゃいますね。
斉藤先生は、「書けない」パターンとして、相当文章力/読解力が低い子を
想定したんだなって思います。
つまり、(読んだ本の)主旨をとらえてなくても許される子に対して、
それでもいいから書きなさい! 大丈夫だよ! って言っている。
でも私のまんがの「書けない」パターンって違ったんですよね。
「感想文が書けない!」という主人公をふたり立てたのですが、
片方は「読解力や文章力は高いが、未知の本を読むモチベ低め、感想文が何かわかってない」
片方は「簡単な物語ならすらすら読む程度の読解力はあるものの、
感想文が何かわかっていない」人物。
要するにふたりとも「ただ単に感想文が何かわかっていない」設定です。
読解力や文章力にムチャクチャ難があるという設定ではありません。
これもやっぱり、私が自分自身を省みて、
「感想文とはコレのことだ!」っていうアンサーを先にもらえさえすれば
あとは何も要らなかったのに〜〜 と思ったからこその設定なのです。
想定読者が違うっていうことなのかな。
でも私は……文章力/読解力低い子にも(読む本のレベルを下げた上で)
「王道構成」は知っててほしいと思うけどな〜。
私が「自由に書くこと」につまづいたのは小学校3年の時でした。
思ったこと自由に書いても! 作文の時みたいにはセンセイ褒めてくれへん!! て。
作文はなん〜〜〜でも思ったこと書いていいのに
(ちょっと変わった行動や考えを書いた方がみんな喜んでくれるのに)
感想文はどうも違うみたいだ! なんで?! って。
その「なんで?!」に直球のアンサー欲しかったっす。
実は斉藤先生の「書き方」のほうでも、
いくつかあるバリエーションの中に、私が「攻略法」で示した基本構成が
含まれているんですよ。
っていうか、それが4章の「キラリと光る感想文の書き方」=上級編的なパート
で示されている。
上級かなあ? どうなんかなあ?
*
まあそこは「想定する読者の違い」ってことでいいのかもしれませんが
個人的に「えっ」と思ったのが、
そんな「想定読者」のわりに斉藤先生は難しい本をすすめてくる
ってことです……。
まあお考えがあるのかもしれないですよ。色々。
若いうちから上質な文章に触れて欲しいとか。
でも、本当にかなりの「名作」推しであることには
ちょっと疑問を感じました。
たとえばこんな本を読むと、こんな感想が書けるよね。って例が
ちょいちょい出てくるのですが、出てくるタイトルの5割はいわゆる「名作」!
(ヘミングウェイの「老人と海」、三島由紀夫の「金閣寺」、カフカの「変身」等々
ダメおしに村上春樹「ノルウェイの森」なんてのも)
主旨をとらえる能力もない子にそんな本すすめるのやめいや。
と思いました(すんません)(ほんますんません)。
5章、ラストに「失敗しない本選びのコツ」が列挙されているのですが、
「短編なら文豪の『名作』をねらう」
というパラグラフがあり、私はそこにバツをふたつつけています……
(斉藤先生がすすめているように、私は本に書き込みをしながら読んでいます。
本にもよるけど&やり方は多分は違うけど。こういう「感想書くと決めてる本」は)。
なんでそんなんすすめんの?!
時代を経ても、いまも変わらずに多くの人たちがその作品をいいと言い、
心に響くと評価しつづけているのだから、ハズレがない。挑戦する意義も高い。
<『だれにでも書ける最高の読書感想文』p.226より>
……だ、そうですが、
いやそれは大人になってから挑戦したら。
と私は思いました。
あとメッチャ頭よかったら挑戦したら。みたいな。
でも逆に言えば、私は読者の想定のわりに
平易な本をすすめてるってことになるのかもしんない。
「主旨」の説明で例に出したのが「アンパンマン」なくらいだしww
村上春樹の本は「無理して感想文対象にしなくていいんだぜ」の例として出しちゃってるしw
私が名作を推薦して、斉藤先生が平易な現代小説/ノンフィクションを
推薦してればちょうどよかった感……。
*
……とここまで、かなり批判的な感想を書いちゃいましたが、
それは「拙作との違いを際立たせるため」で、もちろん
「そうだよねー!」「やべえ完全にかぶった」「あ、こんな指摘もあるんだー」とか
○つけたところもいっぱいありますよ!
私の「攻略法」になくて、斉藤先生のご本にあったものとして、
詳しい「文章」の書き方
があります。
それが第3章「押さえておきたい文章作法と表現のツボ」にあたります。
・「です、ます体」と「だ、である体」どちらを選べばいいのか?
・どんなことに注意すれば実感のこもった表現が生まれるのか?
・そもそも、文章を書くときのマナーは?
などなど、私の攻略法では一ッッ切触れていない部分を、懇切丁寧に解説!
(私は感想文の表現なんてどうでもいいと思っているので書きませんでした。
でもそれは極端な考えで、やっぱ一般的なニーズはこの辺にも存在しますよね〜……。)
それから、私が「えー」と思っちゃった「名作」以外で
すすめられているタイトルに、面白そうな本がいっぱいありました!
本文で二度言及されている宮本常一『忘れられた日本人』。
「あっ、これ先月、担当さんにオススメしてもらったやつ!」
「オススメ聞いて読もうと思ったのに忘れてた!」って思いました(読まなきゃ!)。
あと、米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』という本も
二度紹介されますが、すごいそそられる紹介文でしたよ!
*
まとめると、
斉藤先生の『だれでも書ける最高の読書感想文』のほうが
内容も書き方も幅が広くとってある。
私の「読書感想文攻略法」は、
宿題をこなす最短ルートを示すために狭い。
って感じですかね。
奇しくもタイトル通りに……!www(奇しくもじゃないか。)
私が言ってることの6割くらいは斉藤先生のご本に含まれています。
残りがひねくれ成分&「マジで読書嫌いだった俺」成分ww
いっぽうで、斉藤先生のご本の中には個人的に
「そーそー!」と賛同できない部分もある、っていう感じですかね……。
私は予備校(の小論文&現代文の授業)で文章の書き方を習ったので、
「主旨は1本」
「思いついたからって主旨と関係ないこと書くな」
「一番平易で最短の表現になっている文章こそがクール」
ってのが基本としてあるんですよね(だから小説では短編が好きなのかもね〜)。
原稿用紙5枚は必ずそれで埋めるし埋まる! って思ってます。
……のわりに、主旨をつかむ能力を高めるコツとかを描いてあるわけじゃないのでwww
そこがお手上げな子には役に立たないかもしんない〜。
そういう方はぜひ斉藤先生の『だれでも書ける最高の読書感想文』のほうで
主旨なくてもOKな感想文の書き方を学んで下さい〜!!
で、そうじゃなく「国語能力が低いわけじゃないのに
感想文を書くといまいちな子、内容が散漫になっちゃう子」は
私の電子まんがを……
うっうっ、やすやす「買って下さい」と言えない価格なのが申し訳ないですけど……
試し読みの拾い読みだけでも……していただくと……
ちょっとだけ何かヒントが得られるかもしれないです……(超弱気)。
1話150円×(無料の1話目を除くと)7話=だから、
全部を買うとなんと1050円もしちゃうんだよね
(しかもデジタル使いこなしまくりな現代っ子から見ると絵がヘタすぎるっていうwww)。
でも、ラスト1話は「攻略法」にほぼ関係なしだからそれ除くと900円だし、
ほんとに「試し読み部分だけを読んで、途中脳内補完」していただいても構いません(泣)
諸事情で価格は下げられないんです。ごめんなさい……。
全8話の一覧はこちら!
1話だけは無料で16ページすべてをお読みいただけますが、さすがにそこは導入だぜ……。
*
宣伝で終わるのもなんなのでw、改めて斉藤先生の本の内容をまとめますね。
【第1章 きみにも「最高の読書感想文」が書ける!】
マジで書けない子のモチベ上げ
【第2章 もう悩まない! スラスラ書けるようになる方法】
ここまでの紹介で一切出てきてない章がこれですが、要するに構成初級編です。
主旨をとらえずとも感想文を書くための手法がかなり具体的に・複数提示されています。
【第3章 押さえておきたい文章作法と表現のツボ】
基本的な文章の書き方&書き方にまつわる+α
【第4章 キラリと光る感想文の書き方】
上級編。構成と表現の話が入りまじる。主旨をとらえて書く方法もここに含まれる。
【第5章 読書感想文を書くための、失敗しない本選びのコツ】
タイトル通り(?)
以上全5章。
紹介されてる本が……もっと読解難易度の低い本だったら……
個人的にも、すんなり「感想文入門として超オススメ!」って言えたな〜っていう
懇切丁寧本です。すっごいやわらかい言葉で書いてあります。
具体的にコンクール入賞作品なんかも引いてあります。
角川文庫さんから税別514円で発売中です今年の夏フェア本です!!
それに、あれよね。
なんで難しい本すすめんねんってことにはほんとに……
ほんとに深いお考えがあるのかもしれないですよね。
私は「読書の幅は人生経験と比例する」
「年齢に対して難しすぎる文章で読書トラウマ作られたらマズい」と
考えてるから若い子に名作ゴリ推しNO!! って感じだけど。
たったひとつかぶってた推薦本は、
西原理恵子さんの『この世でいちばん大事な「カネ」の話』でした。
あれはほんとに。読みやすいし書きやすい。いい(角川の本をさらに宣伝してフォロー!!)。